(万事屋! ! ? ?)
何故、此処に?と土方が体を固めて眼を見開いている最中にも、銀髪のその男は、倒し損ねている3人目の男をあっさり地面にのしてしまう。
(・・・何が起きてる??)
緊張の糸が一気に切れ、ゆるゆると土方の五感が閉鎖していく・・・・。
「オイ!大丈夫か!?」
土方は突然のことに頭がついて行けず、赤の景色に浮かぶように揺れる銀髪をぼーっと眺めてしまう。
「・・・・・・・」
目の前の銀色に何か答えたいけれども、巧く言葉を作れず、土方の眉間に皺が走る。
「多串くん!ねぇ!銀さんですよぉー!」
両肩を掴まれ、ゆさゆさと体を揺さぶられるが、視界が揺れるだけで土方は銀髪から視点を移せない。
「聞こえてんのかぁ!?オイ!返事しろ」
「・・・・・」
「何だこの血は・・・斬られたのか?!しっかりしろ!」
「・・・・・・」
「オイ! !」
「・・・・・」
「・・・・・・・・っ。土方! ! ! !」
耳の奥から、低めのテノールで自分の名前が入ってくると、土方は漸くその声の主が、心配そうに自分の顔を覗き込んでいるのが分かった。
「・・・万事屋?」
「・・・おー。多串くん、どっかケガしてんの?すげー血まみれなんスけど」
さっき呼ばれた名前ではなく、いつもの呼び名で訊かれ
(アレは気のせいだったのか?)
と、ぼんやり思うが、銀時が心配そうにこちらを見つめているので、漸く「オレの血じゃない・・・」と小さく答えた。
ふと気がつくと、両肩が痺れるほど強く掴まれている。
「いてぇ」
土方がやんわり銀時の手に触れると、銀時は僅かに驚いた顔をして「ワリ・・・・」
とその手を解いた。
「立てるか?」
その手を借りて土方は起き上がろうとするが、ずしりと身体が重くて、動きが鈍る。
(眩暈がする)
ついさっきまで「死」の覚悟をしていたのだ。
土方の身体は一気に血の気が引けて、未だ極端に体温を失っていた。
繋いだ銀時の手から人の温度が伝わってくると、僅かに「生」を感じることが出来るが、それが余計に土方の闇を掘り下げてしまう・・・・
銀時は起き上がったあとも、自分の手を掴んだまま俯く土方に違和感を感じて、そっと顔を覗き込むが、反応が無い。
「・・・・・?」
「・・・・・・」
「どうした??」
と、今度はテノールよりもう一つ低めの声で訊くと、土方の肩が大きく揺れた。
勢いで上がった土方の顔が、銀時の目の前で止まり、開ききった瞳孔と視線がぶつかる。